mirage of story
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ヒシッ。ヒシッ。
一歩一歩踏みしめる湿気を含んだ土の感触。

周りを取り囲む森の木々達が落とした葉が、踏む度にパサパサと小さく心地良い音を上げる。
そしてその合間を縫うように、カランッという軽い金属音。








森の中。
一人、シエラは水を汲むためのバケツを片手に歩く。




ッ。
この森全体を包み込む神聖さを醸し出すベールの中、その音がしっとりと谺するのをシエラは踏みしめながら楽しんでいた。

陽が暮れかかり普通なら不気味に思えるはずの木々が鬱蒼と茂る森の中なのに、この森はそんな不気味さを一切感じさせない。













「.........本当に、不思議な感じのする場所ね」



染々と呟き、一人木々の合間を進む森の中。

人の気配は自分以外しない。
ただ少し離れた所にカイムを始め自分以外の三人の者が居るのだが、森の雰囲気がその気配を完全に消している。






三人の居る場所から、歩いて十数分くらい。
そんなに遠く離れていないはずなのに。

シエラは関心して、辺りをキョロキョロとしながら歩を進めていた。
















「えっと.......この水の流れを辿っていけば着くって、ロキさんは言っていたけど」



歩いていくシエラ。
そんな彼女の足元には、小川とも言えないような小さな水の流れ。





そう。
今、シエラは水を汲むためにこの森に湧いているという泉を目指していた。


場所は分からない。
だが、ロキからその泉への行き方は聞いてきた。

この場所について免疫がを持っているのはロキだけであって、そのロキが言うことには"水の流れを辿っていけば着く"だそうだ。






だからシエラはこうして、ロキの言う通り水の流れを辿ってバケツ片手に森の中を歩いているのだけれど。









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