mirage of story
自然の織り成す光。
それは陽が照り返る水面。
緑を掻き分けて歩き続ける。
近くなる水の気配。
濃くなる水の匂い。
期待が膨らむ。
見える光は近付いて、あとは手を伸ばし緑色の葉のベールを剥ぐだけ。
近付くその場所に、何故か妙に心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
期待、不安。
いや、それだけでない何かがシエラの胸を打つ。
速く脈打つ鼓動に、一瞬足を止めたい衝動に襲われた。
......ッ。
だけれど、目的に向かって歩く足は勢い付いて止まってくれずに、そのまま緑のベールを突っ切って光溢れる根元の空間へ侵入する。
「............泉だわ」
シエラは一歩その空間に踏み入れた瞬間、その場に満ちる空気感に圧倒された。
まるで、自分のようなちっぽけな存在が此処にいてはいけないと感じてしまうような。
妙に速まる胸の鼓動は、この空間を目の前に感じ緊張していたからかもしれない。
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