mirage of story









......あった。


水面が小さな波紋が揺れる中、その底にポツリと淡く青い小さな指輪。
泉の水が澄んでいて、本当に助かったとシエラはホッとする。




幸い指輪の落ちた所はそんなに深い所ではなくて、手を伸ばせばどうにか届きそうだった。













スッ。
シエラは袖が濡れないように捲り上げて、ゆっくりと水の中に入れた。

水の冷たさが手から伝わる。



その冷たさを堪えて、グッとその手を二の腕の辺りまで水の中に押し込む。
冷たさに背筋がゾクッとする。












「も、もうちょっと」



後少しで指輪に手が届きそう。

グッと伸ばす手。
指輪を取ろうと泉に大きく傾いた身体に、シエラの長い髪がはらりと流れ毛先が少し水に浸る。






もっとグッと伸ばす。
勢いをつけて、底にある指輪を掴もうと手を伸ばす。

その反動の波で底の砂が舞い上がり澄んだ水が濁り、目的の指輪が見えなくなる。
もやもやと砂の靄の中に、手と指輪が隠れてしまう。













........ガッ。

でもシエラはそのまま、その濁りの下へと思いっきり手を突き延ばし指輪を掴んだ。









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