mirage of story










身体を動かすことも叶わない。

金縛りにあったように、緊張する空間がシエラを縛る。



シエラは何の抵抗も出来ないでそのまま何かが起こるのを、そうでなければこの縛りが解けるのを待つしかなかった。













ブワァアッ―――.....。

動くことが出来ず、そのままで居るシエラ。
そんな彼女は、空から泉に注ぐ風が次第に治まってくるのを感じる。







何が起こっているのか。

何故かそんな疑問はシエラの中には無くて、この今の異様な状況を不思議だが受け入れていた。




風が完全に治まる。

これで、何かが起こるのか。
鼓動は速まるが、気持ちは至って冷静に空間の動きを待っている自分が居た。













揺れ波紋を描く水面が、風が止んで穏やかさを取り戻してくる。

波立っていた水面が、汚れ一つない鏡のような水面に。



水面に映る空は、もう夜の空だった。
暮れかけの陽のオレンジ色はもう名残しかない。

周りに聳える木々達の濃淡ある緑色が映り、もう一つの森がそこに現れる。












ッ。

完全に治まる水面。
そしてそこに一色、今まで存在しなかったはずの水とは違う美しい青。蒼。


その蒼は滑らかな曲線を描いて、一つの形を成す。








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