mirage of story










わざとらしく腕を組み、唸り悩むような声を上げる。
どうすっかなぁ、などとブツブツとぼやきながら暫く考え込む。


















「................捜しに行くのなら、一人で充分かと。

私と彼は此処で待とう。

彼女がもし迷っているというのなら、早く捜しに行った方がいい。
捜しに行くにしても、何を考えてるか分からないような頼りない彼よりもしっかりとした君の方が彼女も喜ぶ」





暫くジェイドの唸り声混じりの沈黙が続いていた。


この沈黙を誰が破るか。
いつもならこういう場合はジェイドかカイムがその役を担うのだが、今回は違った。





いつもは沈黙を守り、必要な時以外は自ら口を開かないような鉄仮面のロキ。

珍しいこともあるものだ。
そんな彼が、この沈黙を破り口を開いた。



カイムはそれに驚いて、ジェイドも何か少しだけ含んだように笑ってロキを見た。













「うっわ、結構酷いことをそんなサラリと......。
ロキちゃんの人でなしーっ!」




「.............森を歩くには暗い。なので、これを。

地面に小さな水の流れがある。
彼女はそれを辿って泉に向かったはず。
さぁ、これ以上夜が深まる前に、早く彼女の所へ」




ジェイドが大袈裟に嘆く。
それを完全に流して、ロキはいつの間にかランプに火をくべてそれをカイムに差し出した。


カイムはまだ驚いていたが、差し出されるそれをハッとしたように受け取る。










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