mirage of story
その声が聞こえて、ゆっくりと流れる空気が元通りに流れ始めて、宙で重なり合った二つの影は地面へと落ちる。
ロキの首元には突き付けられた鋭い刃。
それをあてがうのはジェイド。
動くことも出来ずに、そのまま地へと落下する。
勝負は決した。
ドサッと音がする。
どうにか燃える焚き火を避けて、その端の湿った地面に体制を立て直し着地する。
だがそれにも限界があり、着地の衝撃で身体は揺らぎ前のめりになる。
水気を含んだ地面は柔らかく衝撃を吸収してくれるが、それでも痛い。
ロキは痛みに僅かに顔をしかめながら、改めて自分の置かれた状況を確かめる。
やはり首元にあるのは、自分の敗北を決定付け嘲笑うように煌めくジェイドの刃。
あぁ、あの浮かべていた笑みの理由は、自分に勝つ絶対的な自信があったからか。
ロキは悔しいとか恥ずかしいとかそういう前に、何処かでそう納得した。
そして自分は、完全にこの男に負けたのだと実感した。
「そのような実力まで―――隠していたとはな」
カランッ。
ロキは呟くようにそう言って、観念したように短剣を手から滑り落とした。
「おぉ、初めて素直に褒めてくれたじゃないの♪
何て目覚ましい進歩!」
ロキの呟きに何の緊迫感も緊張感もなく、大袈裟に喜んだ感じで笑う。
だがジェイドが手にする槍の刃は、しっかりとロキの首元に突き付けられたままだった。
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