mirage of story
「まぁ、これで少しは俺を見直したかい?
ちょっとばかし勝手な理由で悪いが、嬢ちゃん達にこの先もついて行かせてもらうぜ?
安心しろって、極力あんたらの邪魔にならねぇようにはするさ」
ニカッと笑い、ようやくロキの首元から刃物の禍々しい気配は消える。
パッと、槍はジェイド自身に吸収されるように手から消えていた。
魔術の一種だろう。
忘れかけてしまう事実だが、彼は一応れっきとした魔族なのだから。
消えた刃物の気配。
ロキから死の危機が遠ざかる。
それを背後に感じ、ロキも手から滑り落ちた短剣をゆっくりと拾い上げ、それを鞘に収めて懐へとしまった。
張り詰めた空気が、スッと溶けていく。
辺りにはただ暖を湛える焚き火と、静寂な森の空気。
ほんの数刻前まであったこの森独特の空気感が、何事もなかったように戻ってきた。
「.............貴様がどんな魂胆で彼等について行くのかは関係ない。
我等の行く手を阻むようなら、容赦はしない。
だが、そうでないのなら..........勝手にしろ」
「ハハッ。
そうさせてもらうさ」
互いに口調は変わらない。
端から見れば、正反対であるこの二人。
だけれどこの二人の間に在った関係性は、つい先程のものとは明らかに異なっている。
互いに対して抱いていた感情が、明らかに変わっているのが分かる。
どうしてだろうか。
それは刃を交えたことで、相手の本質を垣間見たからかもしれなかった。
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