mirage of story











両者の間で不確かだったものが確かになることで、その間を隔てていた溝は徐々に埋められる。


その溝が完全に埋まり平面となった時、人は本当に仲間というものになれるのだろうか。
それは分からないし、まだこの二人には遠く関わりのないことだった。









ただ他人との溝が埋まっていくにつれ、増大していく不安。
溝が埋まり平面となっても、それが関係が深まるにつれ、次第に溝より越えられない壁になっていく気がする。

人は脆い。
そして人と人との繋がりというものは、それ以上に。






人を信じ、互いに信じ合え真の仲間と言えるようなことはもはや奇跡に近いこと。

ジェイドもロキもそのことは知っていたから、自ら誰かに深く関わろうとはしなかった。
心の底から信じようとはしない。
いや、信じられなかった。




















「――――さぁてと。
久々に本気になったら疲れちまった。

カイムが嬢ちゃん連れて帰ってくるまで寝るわ!
ロキちゃん、帰ってきたら起こして頂戴?」




戻った空間の雰囲気に、暫く黙る二人の間をすり抜けて、ジェイドはその空間を破るように逃げるように笑った。

このまま沈黙が続けば、この静かさに互いの心の内が読まれてしまいそうな気がした。
この静かさに、自分の領域が犯されてしまいそうな気がした。





互いにほんの少し通じ合った。

だが他を信じられないジェイドと、他に関心を持たないロキ。
両者にはこれ以上相手の領域に踏み込む義務も、またそんな意志も持っていなかった。











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