mirage of story
〜7〜









ヒシヒシと身体に伝わるのは、陽が沈み下がった気温がもたらす寒気と静寂。

薄暗い森の中、夜空に浮かぶ月や星達が足元をうっすら照らす。





茂る緑色。
時折吹く風に、サラサラと心地よく木の葉が揺れる。

そしてその音と重なって、湿った地面を踏みしめる足音。
薄暗い森の中、一人灯り片手に歩を進めるカイムは先を急いでいた。













「シエラ......大丈夫かな」



一人歩く森の中。
そんな彼の頭の中にあるのは、シエラのことばかり。

急ぐ足も、森にある泉に水を汲みに行ったきり戻ってこない彼女を心配してのことだ。










今、カイムが歩くその傍らにごく小さな水の流れ。
その水がカイムの持つランプの灯りに照らされてキラリと揺らめく。




ロキに言われた通り、泉に続くと思われる水の流れを見付けてカイムは此処まで歩いてきた。

まだ目的の泉もシエラの姿も見えないが、もうそう遠くない所まで来ているだろう。
先程よりも幾分か濃くなってきた水の匂いにカイムは先を急ぐ。





歩く足元を見れば、踏み倒された地面の草。
掻き分けられた緑の視界。

人の通った痕跡が、僅かながらに残される。


この森の中、今のところ自分達以外に人の気配は感じられない。
ということは、この痕跡は恐らくシエラによるものだ。





その痕跡を辿り、歩く歩く。




















カッ――――。

歩を進めた。
シエラを捜した。泉を捜した。



そして見つけた。
........森の奥進む先に見える、清らかな水面の煌めき。










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