mirage of story








あれが、泉だ。
そしてあの場所に、シエラは居る。

水面の煌めきに、沸く確信。





カイムは煌めくその場所へ向かって走り出す。

シエラの作った道の痕跡。
同じ道を辿って、その先の泉へと一直線に向かっていく。














「シエラ!」


森の中。木々迫る道を抜けて拓けた場所に出る。

と同時に、そこに居るだろうと確信した人の名を呼ぶ。











...........。

だが、返る言葉はない。



疑問に思い目を凝らす。
いきなり拓けた場所へ出て目が慣れるまで数秒。
じんわりと、風景の輪郭が見え始め次第にはっきりと覚醒していく。
















"............やって来たか、少年よ"



覚醒していくカイムの視界。
その視界の端に、見える蒼。

そして聞こえる、求める人のものとは異なる低く僅かに嗄れた脳裏に響く声。





何だ。
考える間さえ与えられず、カイムの完全に戻った視覚に現実が映される。


視界の端の蒼が次第に形を成していく。
荘厳なる、美しい蒼を纏った竜の姿に。










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