mirage of story
竜―――水竜はカイムを前に何も包み隠すこともなく、自分の存在を告げる。
簡潔。
それで説得力のある説明。
水竜は人にとっては極めて理解し難いことを口にしているはずなのに、それを聞くカイムはその事実を至極自然と理解した。
これもこの美しき竜の持つ力なのだと、首をかしげ心の中で半ば納得する。
"少年よ。
.............君には、知らねばならぬことがある。君には全てを知り受け止める義務がある。
君の存在が、何であるかを。
我はそれを君に告げるために、運命の名を借りて今此処に君とこうして相見た。
君は大いなる覚悟と決断を、いずれ遠くない未来に迫られる。
その決断は君の、そしてこの世界に生きる全てのものの運命をも左右する。
唐突な話で申し訳ない。
だが、もう時間がないのだ。
狂ってしまった運命はもう止められないところまでやってきている。手をこまねいている時間はない"
水竜が蒼い宝石のような瞳を向けてカイムに言う。
低くて、でも心地良い声。
それは真っ直ぐにカイムへと向けられていて、何処か哀れむような陰があった。
「な.....なんのことですか?
全てを知る?覚悟と決断?
俺の決断が、世界の人達の運命を変える?
俺はシエラのように記憶を喪っているわけではないし、俺にそんな大それた力はありません.....」
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