mirage of story












「此処は......」


声が響く。
反響するものは何もないはずなのに、声は白い空間に暫く止まってそして消える。















パアァァッ―――。




「うわっ!」



状況の変化に対応しきれていないのに、また次々と展開していく。

白い世界から一筋の光。
声を上げる自分。









光に眩んだ目が慣れてくるまで数秒間。
そしてその後に広がる、先程とはまた違う世界。




広がる大地。小高い丘。
天から降り注ぐ雨。

此処は何処だ?
脳が視覚から入る情報にそんな疑問を浮かべる。




鼻にはツンッと湿った空気と土の匂い。

まるで此処に自分が存在するような感じに襲われるが、降り注ぐ雨に手をかざしてもその手は濡れない。


そう恐らくこれは、水竜が俺に見せている幻想。
もしくは、水竜の中にある俺の知らない記憶のその一部。

























".................これは今から十八年前。

君が生まれた日だ"










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