mirage of story
割れた空の隙間に覗く闇は怪しく蠢き、それを制するように金色の魔法陣が煌めく。
空の闇と見つめる父さん。
そしてそれを傍観する自分。
この空間に今存在するのはその三点だけで、その一点である俺はこの状況を生み出しているのは紛れもなく今目の前に居る十八年前の父であることに、遅ればせながらも気が付く。
父さんは魔族だった。
それも長い間、魔族の大国の王に仕えるという極めて優秀な魔族だった。
この今の状況。
複雑な魔法陣。
詳しくは分からないけれど、きっと父の意志で父の魔力によって今この状況にあるのだと、俺は思った。
『...............』
ザアァァッ。
一瞬、空に蠢く闇が笑ったような気がした。
背筋に強烈な悪寒が迸り、途端に身体が震え出す。
自分の意志では制御出来ない。
本能があの闇を拒絶しているように思えた。
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