mirage of story
どうして貴方は、そんな姿をしているんだ?
どうして.........何よりも、俺が今何よりも憎まなきゃいけないはずのその姿をしているんだ。
流れるような長い黒色の髪。
艶やかで怪しげ、それでいて魅力的な漆黒の瞳。
どうして。
どうして、どうして。
俺のずっと求めていた優しい父であるはずの貴方が何故、敵である魔族の王のはずのロアルであるのか。
どうして一番愛おしいはずの貴方が、父さんが――――そんな一番憎い者の姿をしているのか。
"................これが、君の求めていた父親のその姿だ。
この彼の姿を、今の君は知っているはずだ。
それが例え父としての意識がない上での記憶でも、君は薄々何かを感じていただろう?
彼が父であると、心で感じながらその事実を否定していた。
それは君の大事な仲間を傷付けてしまう事実であり、また自らを傷付けてしまう事実であったからだ。
.............だが、その事実は認めねばならない。
彼は――――今この現在魔族の頂点に君臨し人間を排除し世界を統べようとしている世界の混乱の張本人であるロアルは、紛れもなく君の父親だ。少年よ"
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