mirage of story
認めなく無かったのだと思う。
信じたく無かったのだと思う。
自分の父親が、自分の大切な人の―――守ると心に決めた人の最大の敵だなんて。
彼女の、シエラの大切な人の仇だなんて。
あれが自分の父親です、なんてシエラを前に認めたくなかったんだと思う。
その俺の否定が、確証がまだ無かったその事実に拍車をかけて俺の中で無かったことにしてしまったんだと思う。
「俺は.........俺はあの人を見た時、確かに何かを感じました。
もしかしたらこの人がって、そう思ったけれどそれが事実と認めたくなくて否定していた」
".........."
「でも確かにあの人は―――――俺の父さんです」
ついに心が認めてしまった。
あれだけ認めたくなかった事実を、何か吹っ切れてしまったように実にあっさりと。
諦めたように、観念したように実にすんなりと。
あぁ。
この事実をシエラが知ったらどんな顔をするだろう?
彼女は俺を受け入れてくれるだろうか。
それとも突き放すのだろうか。
まだ俺のことを仲間と言ってくれるだろうか。
それともロアルを、父さんを恨むように俺を恨むのだろうか。
認めてしまった瞬間に、そんなことが頭の中に交錯する。
その頭の中に浮かんでくること全てが、何故かシエラのことばかり。
そのことに気が付いて、その事実に俺は首を傾けた。
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