mirage of story
「人間を殺せ!」
「魔族を殺せ!」
互いに飛び交う叫び。
だがその先に在るものは、皮肉にも同じもの。
「「―――平和のために!」」
重なる言葉と現状の矛盾。
平和を望むがために、争い殺し合う現実。
ザンッ......ポタッ。
命が断ち切られる音が、止め処ない。
大地を血で汚す。
鉄っぽい血生臭い匂いが大気を汚す。
人の欲が、綺麗な世界をどんどん汚していく。
―――――......。
ほら。言っているその間にもう、幾百幾千の命がこの場から消えていった。
戦場に立っていた魔族と人間。
生者が死者へと変わっていく。
生きていれば互いに相手を否定し傷付け合う彼等なのに、死んでしまったらもうその境もない。
皆、同じ屍。
「.........ルシアスのために」
激しい戦乱の最中にその身を投げてから、ほんの数時間。
ライルの手に握られた剣の輝きは、磨き上げられた銀色から血に薄汚れた鈍色に変わっていた。
がむしゃらに敵を斬った。
そしてふと、周りを見渡せば敵も.....そして味方もその殆どは数時間前と見違える変わり果てた姿になっていた。
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