【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「ごめんなさい……か、買いすぎましたっ……」
「大丈夫ですよこのくらい!」
確かに重いはずなのに、4人は軽々とそれを持ってくれて、男女の差を感じる。
私、ひとつしか持ってないのに、腕がちぎれそう……。
両手でなんとか持ち上げて、合宿場までの道を戻る。
うっ、……お、重い……。
腕が悲鳴を上げ、地面に落としてしまいそうになった時だった。
力が抜けて、腕に掛かっていた重みがゼロになる。
彼が、軽がると私の荷物を奪って、先を歩いて行った。
……和泉、くん……っ。
「あ、あのっ……」
慌てて追いかけて、私はその大きな背中に声を掛けた。