【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜

「ごめんなさい……か、買いすぎましたっ……」


「大丈夫ですよこのくらい!」



確かに重いはずなのに、4人は軽々とそれを持ってくれて、男女の差を感じる。

私、ひとつしか持ってないのに、腕がちぎれそう……。



両手でなんとか持ち上げて、合宿場までの道を戻る。


うっ、……お、重い……。



腕が悲鳴を上げ、地面に落としてしまいそうになった時だった。


力が抜けて、腕に掛かっていた重みがゼロになる。




彼が、軽がると私の荷物を奪って、先を歩いて行った。



……和泉、くん……っ。



「あ、あのっ……」



慌てて追いかけて、私はその大きな背中に声を掛けた。

< 165 / 507 >

この作品をシェア

pagetop