【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
部員たちは、トレーを持って恐る恐る立ち上がり、残飯のところへ持っていった。
苦笑いを浮かべながら、マネージャーの前を通り過ぎていく。
「ごめん……俺あんま腹減ってないや……」
「お、俺も……」
残飯……すごい量だ……。
とりあえず、俺もご飯くらいなら炊けるから、何合か炊いておにぎりでも作ろう。
絶対にみんなお腹空いてるだろうし……
そう思った時、視界の端に、うつ伏せになっている部員が残ってることに気づいた。
……和泉?
「和泉、大丈夫か!?」
駆け寄って肩を揺すると、和泉がゆっくりと顔をあげる。
その顔が真っ青になっていたので、風邪がぶり返したのかと心配した。
額に手を当てると、熱はなさそう。
「……気持ち悪い」
どうやら、カレーを食べてこうなったらしい。
失礼だけど、よくこれを食べてみようと思ったな……。