【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「君たち、この前夕飯はマネージャーみんなで作ってるって言ってたよね?」
「えっ……」
「あれは嘘ってことでいいの?」
キャプテン……?
「いや、嘘ってわけじゃ……」
「合宿に来て、自分たちが何したか1人ずつ言ってごらん」
口ごもるマネージャーたちを追い詰めるように、キャプテンは言葉を続けた。
「えっと……応援と……」
「応援?応援ってなに?1番の応援は俺たちのために働いてくれることなんだけど」
……あれ?
怒ってる……?
キャプテンが怒るなんて、珍しい……。
リナ先輩がマネージャーと大げんかしてた時も、笑ってなだめていたのに。
真顔でマネージャーたちに詰め寄るキャプテンの姿に、俺は首を傾げたくなった。
「やらなきゃいけないこと放置して、挙句の果てに逆ギレ?やばいね」
ははっと、乾いた笑みをこぼすキャプテンの目は全然笑ってない。
それが、純粋に怖かった。
この人は敵に回したくないと、心底思った。