【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜

悲劇のヒロインぶっているわけでもなく、偽善者ぶっているわけでもない。自分をよく見せるために、そんなことを言っているわけではないということは痛いほどわかる。

ただ本当に、静香さんはそう思っているんだろう。

この人は……どこまでお人好しなんだろう。



「明日からはちゃんと、私も指示を回せるように頑張ります!だから……そんなに、怒らないでください……」



さっきまで怒っていたキャプテンの顔を見ると、その表情からは怒りはすっかり消えているように見えた。

それもそのはずだ。
この人を前にしたら、なんだかどうでもよくなってしまう。


優しすぎて……危うい人だと思った。

和泉も、目を見開いて立ち尽くしている。



「花染先輩……」



後ろにいるマネージャーたちも、呆然と静香さんを見ていた。




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