俺様外科医と偽装結婚いたします
そのドレスも、袖部分の大きなフリルが印象的なスレンダーなドレスも、シンプルなロング丈のドレスも、パンツスタイルも……。
「次」
環さんはその一言でばっさりと切り捨てていく。
彼のお眼鏡にかなうまで? そんな日は、絶対にやってこない!
心が完全に折れ、怒る気力もなくなり、新たに着せられたドレスに無感情のままふらりとカーテンの向こう側へと進み出ると、こちらを見た環さんがわずかに目を大きくさせた。
「……まぁ……合格」
やっと許可が下りたことにホッとし、私はその場にぺたりと座り込んだ。
自分が身に着けている淡いローズピンクのフレアワンピースは、デコルテや袖のあたりにほどよい透け感があり、大人っぽい。
そしてウエストにも小さめながらリボンがあるため、可愛らしくもある。
確かに素敵なドレスなのだけれど、これを身に着けて参加する誕生日パーティーとなると、自分が思っている以上に大規模なものなのかもと気持ちが冷えていく。
ソファーに腰かけていた彼が立ち上がりゆっくりと歩み寄ってくる姿を涙目で見上げて、私は恐る恐る問いかける。