俺様外科医と偽装結婚いたします
「はい。喫茶コスモスです。……あら、銀之助さん! この前は大変お世話になりました。ぜひ暇な時にでもお店にいらしてください。ささやかですけれど、私どもにも銀之助さんの誕生日をお祝いさせてくださいな」
電話をかけてきた相手が銀之助さんだと知って、どきりと鼓動が跳ねた。用事はなんだろうと考えると自然と緊張がこみ上げてくる。
お祖母ちゃんがちらりと私を見たため、思わず息を飲む。
「咲良。銀之助さんが話したいことがあるって」
「……えっ!? は、はい」
返事をした声が震えてしまった。差し向けられた受話器をお祖母ちゃんから受け取るべく歩きだす。
関係ないと思いたいのに、環さんと菫さんの姿が脳裏にちらつく。ほんの少しの距離だというのにやけに遠くに感じた。
興味津々な様子の陸翔と母の視線を苦笑いで受け止めつつ、何か言いたげなお祖母ちゃんから受話器を受け取る。
そして大きく息を吸い込んでから、銀之助さんへと話しかけた。
午後四時。緊張の足取りで加見里病院に向かって歩いていくと、院内への入り口手前で「咲良!」と声をかけられた。