俺様外科医と偽装結婚いたします

いきなり身体を動かした反動からか、お祖母ちゃんが「いてて」と胸元を抑えて身体を折った。その姿に環さんと私は慌てて手を伸ばす。


「……はぁ。まったく呑気なものだよ」


苦しさを残しながらの発言のあと、お祖母ちゃんが口元をわずかに綻ばせる。

自然と顔を上げると環さんもまた視線を移動させて、私たちは顔を見合わせた。そして同時に、はにかむように笑った。



お祖母ちゃんの状態が落ち着いたのを見計らって、環さんは私の家を出た。もちろん私も見送るという口実のもと彼を追いかける。


「食事していってくれたら良かったのに」


話しかけると、店の傍にある駐車場前で環さんが足を止めた。


「今日はやめておく……食事なら今度、約束している時に」


振り返った彼のそばで私も立ち止まり、微笑む彼を強張った顔でじっとみつめる。


「なんだよ。約束もなかったことにするつもりか」

「でもだって……私たち……」


確かに食事の約束はしていた。けれどその後、病院内で自分が環さんに言ってしまった言葉を簡単に無かったことにはできない。

それに恋人でいるのは銀之助さんが飽きるまでというのが環さんの条件だったはずだ。それを満たした今、あの発言の意味を知りたい。

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