俺様外科医と偽装結婚いたします
視線をあげると凛々しく輝く環さんの瞳とぶつかった。
「堂々としていろ」と言われたような気持ちになると同時に、先程よりも手からしっかりと伝わってくる力強さに勇気が湧き上がる。
どんなに反対されても、環さんが好きという気持ちだけは消せない。
唇を引き結んで環さんの手をきゅっと握り返した時、銀之助さんが口を開いた。
「聞いたよ。梅子さんが検査を受けに来ていると。大変だったみたいだね」
「はい。でも……環さんがいてくれたおかげで、私たち家族はあまり不安にならずに済みました」
「そうか。なら良かった」
優しく微笑みながら話しかけてくれていた銀之助さんが、繋いでいる私たちの手を再び見て忌々しげにため息をついた。
「環。友人として心配なのは分かるが、……咲良さんにこれ以上迷惑をかけるべきではない。よく考えて行動しなさい」
ぴしゃりと言い放って銀之助さんは私たちに背を向けた。しかし、歩き出すよりも先に環さんの真剣な声が響いた。
「考えています。咲良のことをずっと」
銀之助さんが振り返り、驚きと本気の両者の眼差しがぶつかり合う。