俺様外科医と偽装結婚いたします
緊張で声を震わせながらやっとの思いで言葉にすると、環さんが目を大きくさせた。
「正直に言って。ふたりはどういう関係なの?」
嘘や動揺を見逃さないようにじっと見つめると、環さんはふっと笑みを浮かべてシートベルトを外しにかかる。
「とりあえず行くぞ」
返答をはぐらかされたことが面白くなくて不貞腐れていると、一足先に車外に出た環さんが助手席側へと移動して恭しくドアを開けた。
「妙な不安なんて吹き飛ばしてやるから、俺について来きて」
自分に向けられる力強い眼差しと差し出された大きな手を交互に見ていたら、肩の力が抜けていった。
私もシートベルトを外して、彼の手のひらに自分の手を重ね置く。車から降りると、そのまま優しく引き寄せられた。
これから環さんは私にどんな話をするつもりなのだろう。
もしかしたら、甘いもので誤魔化すためにこのお店に連れてきたのだろうか。
そんなことを考えて疑心暗鬼になっていたら環さんが私の腰に手を回してきた。
彼の身体に寄りかかると途端に鼓動は高鳴り出し、切ないほどの恋心を実感させられる。
漂っている甘い匂い誘われるままに、私は環さんとともに店内へと足を踏み入れた。