俺様外科医と偽装結婚いたします
環さんに続いて私も席に着くと、早速川元さんが話し出した。
「デート中だったのに呼び出してごめんな」
「咲良が気にしているようだったから来たけど、次は無視するからな」
今回だけは特別だと環さんに宣言されて、川元さんが悲しそうに顔を歪めた。
環さんと菫さん。ふたりを目の前にしてしまうと、やっぱり落ち着かない。両方を失うことになるかもしれない恐怖に手が震える。
「咲良ちゃん」と改まった声で川元さんが私を呼んだ。
彼は姿勢を正して、テーブルに額をぶつけるのではとこちらが慌ててしまうくらい深く頭を下げてくる。
続けて、頭の上へと川元さんに手を乗せられた菫さんも同じような体勢を取った。
「咲良ちゃん、本当にごめんな。俺も菫から話を聞いてめちゃくちゃ叱っておいたから……どうか許してやってくれ」
状況が飲み込めず説明を求めるように環さんを見たけれど、彼は呆れ顔で肩をすくめただけだった。
「自分が院長に話したことで咲良ちゃんを傷つけて、その上環と結婚させられそうになったってここ一週間ずっと喚いてて」