俺様外科医と偽装結婚いたします
菫さんの頭がどんどん下がっていき、ついには頭を抱えてうめき声を発する。
「けど実際、環との結婚も有りかもって思っただろ? 環の未来は俺より華やかだからな」
「やめて! 私にはあなたしかいないって何度も言ったでしょ!」
川元さんに肘で突っつかれて、菫さんは勢いよく顔を上げる。大声で否定したあとハッと私を見て、申し訳なさそうにひと言追加させた。
「実は、私たち付き合ってるの。隠してた訳じゃないんだけど、なかなか言い出すきっかけがつかめなくて」
予想外の告白を受けて、ぽかんと口を開けてしまった。
けれど疑いを抱いたのは最初だけ。目の前でこそこそやりとりする菫さんと川元さんの空気感は恋人同士と言われてもおかしくないくらい自然なものだったからだ。
むしろ何回も二人で来店していたというのに、なんで気がつかなかったのかと自分が恨めしく思えてくる。
「……私、環さんと菫さんは付き合ってるかもって、ずっと思ってた」
「えっ!? ……なにをどう勘違いしたらそうなるんだよ」
「だって。菫さんの住んでるマンショから環さんが出てきて、一緒に環さんの車に乗ってどこかに行ったのを見かけて……もしかしたら同棲してるのかなって」