俺様外科医と偽装結婚いたします

「幸せ」と言いながらケーキやパフェに手をつけていると環さんが「見てるだけで胸やけしそうだ」と顔をそらし、「私も!」と菫さんがケーキに手を伸ばし始めると「お前は自粛しろ」と川元さんがその手を掴む。

川元さんの制止を押し退けて新たに運ばれてきたティラミスケーキを頬張りながら、菫さんがじろりと環さんを見た。


「っていうか、本当に久郷先生でいいの? 愛情表現乏しすぎの割り切った結婚生活に咲良が寂しい思いをする予感しかしないんだけど」

「そんなことにはならない」


不機嫌な顔で対抗した環さんが、おもむろに視線を落としてテーブルに頬杖を着いた。


「俺の方が咲良に本気だから」


囁くように彼から告げられた思いにトクリと胸が高鳴り、アイスクリームを口に運ぼうとしていた手が止まる。

物憂げな瞳で私を捉えて「ね?」と問いかけてくる。生じた戸惑いが、その一瞬で焦りに変化し大きく弾けた。


「いえっ!……私の方が好きです! だって私……私のぜんぶで、環さんが好きですからっ!」


私の気持ちを知ってほしい。ちゃんと伝わってほしい。

その一心で、スプーンを握りしめていない方の手で大きく身振りを交えながら必死に力説すると、川元さんが小さく笑った。

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