俺様外科医と偽装結婚いたします
そこで自分がとんでもなく恥ずかしい発言をしてしまったことに気づかされる。
菫さんも堪えきれない様子で笑みを浮かべているし、環さんに至っては完全にフリーズしている。
私は熱くなった顔をそらして、ぎこちなくアイスクリームを口に運ぶ。
「咲良」
「……なんですか」
涙目で環さんへと視線を向けたその瞬間、頬に柔らかで温かなものが触れた。
環さんが私の頬にキスをした。菫さんも川元さんもそろってぽかんと口を開けている。
「ありがとう。俺も大好き」
からりと音を立てて手からスプーンが落下し、一気に頭に血がのぼる。
身体を熱くさせるほどの艶っぽい眼差しと甘く蕩けるような声に、私はいとも簡単に陥落したのだった。
平凡だった毎日に、環さんという彩りが加わった。
菫さんとは前よりも仲が深まった気がするし、川元さんも環さんを引き連れて頻繁にコスモスに来店してくれている。
無意識だろうけど、環さんは銀之助さんのお気に入りの席に座ることが多くて、そんな姿を見るたびに心が温かくなる。
環さんと始めて会ったあの時、こんなにも穏やかな日が訪れるなんて少しも思わなかった。