フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
「——へっ?」
思わず、変な声が出た。
「おれが勝手に選んだ指輪で悪かったが、見合いのときの君の雰囲気を考慮して選んだから、似合っていないことはないと思う」
「うそっ、この結婚指輪、あなたが自ら選んだのっ⁉︎ 秘書じゃなくてっ⁉︎」
狭くて反響するエレベーターの中にもかかわらず、わたしは叫んだ。
「当たり前だろ? 自分の結婚指輪を秘書に選ばせるヤツなんかいるわけないだろうが?」
小笠原からものすごい目で睨まれた。
「もしかして……こっちも?」
わたしは右手薬指に輝く婚約指輪を掲げた。
一カラット以上の楕円形ダイヤモンドの周囲をメレダイヤがぐるっと取り巻く、たいへん豪華なリングである。
ところが、最近流行りの婚約指輪と結婚指輪の重ね付けをしようにも、結婚指輪の幅広リングには合わない。
あまりにもゴージャス過ぎて「やり過ぎ感」が満載になってしまうからだ。
——重ね付けなんかしなくても、どちらも単独でじゅうぶん使えるってことなんだろうけど……
「そっちの方も、サイズぴったりだな」
小笠原が満足げにニヤッと笑う。
「身長と体重と指の形状がわかれば、リングサイズは大体わかる。
見合いの釣書には体重が書いてなかったから少し不安だったが、杞憂だったな」
「えっ、なに、それ? なんで、そんなスキル持ってんのよ?」
わたしは呆然となった。
——でも、それって……
いろんな女の人を見てきてないと身につかないよね?
しかも、リングをプレゼントするためとか「必要性」があって積み上げてきたスキルだよね?
ということは……
——この男……もしかして、今までにかなり「遊んで」なくない?
そのとき、機が目的のフロアに到着し、チンという音が鳴って止まった。
そして、目の前の扉がすーっと開いた。