フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
役員報酬は、すべて父が勝手に管理しているあさひJPN銀行の「小笠原 レイカ」名義の口座に振り込まれているため、会社からいくらもらっているかは知らない。
ただ、父からは……
『創業家の人間ってだけの「名誉職」とはいえ、おまえに取締役会でとんでもないことをしでかされてはたまらんからな。
最低限のことは覚えてもらうぞ』
と命じられて、就任するにあたって会社組織に関することをめちゃくちゃ勉強させられた。
——でもさ……
結婚した娘名義の預金口座を、父親がまだ管理してるのっておかしくない?
今さらながらそう思った瞬間、パッと「あること」が閃いた。
——そうだわ……
あさひJPN銀行は、元カレが部長をやっているメガバンクだった。
だったら——
「『あのときのこと』を奥さんにバラすわよ?いいのね?」と彼を脅せば——いや、申し出れば、父から口座を取り戻す「協力」をしてくれるかもしれない。
——『あのときのこと』なんて、まーったくないけど、いいのだ。ウソも方便だ。
今はアプリでも口座管理できるから、父が勝手に設定してわからない暗証番号さえ変更できれば……
——そしたら、竜生くんのサロン代の足しくらいにはなるかもね……
今日ひさびさに彼らの施術を受けて、やっぱりまた定期的に利用したいと思っていたところだった。渡りに船だ。
——そうだ、そうしよう!
我ながら、なんてグッドアイディアなんでしょう!
わたしはいっさい後ろを振り返ることなく、上機嫌になって鼻歌混じりでバンケットルームへ戻って行った。