フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

「これだから『お嬢様』は……」

通話を終えた小笠原が吐き捨てるように言うと、カ◯プヌードルの蓋を開けた。

とたんにトマトの風味がふわっと漂ってくる。

「あれっ、ラーメンじゃないの?」

——カ◯プヌードルなんて、今まで数えるほどしか食べたことないけどこんな香りだったっけ?

雑誌の真冬の撮影でめちゃくちゃ寒かった日に、スタッフがコンビニで調達したのを食べたくらいしかない。

「ノーマル味やカレー味以外にはシーフード味くらいしか知らなかったが、最近はフレンチのオマール海老のビスク味なんてのがあるんだな……」

小笠原は「オマール海老風味ペースト」の封を切って中にかけながらしみじみと言った。

「なによっ、エラそうにっ!
自分だって『御曹司』の『お坊ちゃま』じゃん」

——わたしに当て付けるみたいにカ◯プヌードルなんて食べて「庶民派」ぶるんじゃないわよっ!

小笠原家(うち)の方針で、中高一貫校で学寮に入って以来親許を離れて生活してきたからな。
それに、この三年間上海へ赴任して一通りの身の回りのことはできるようになった。
その歳になっても親の脛を齧りまくって散財している君なんかとは、いっしょにしないでくれ」

カ◯プヌードルをかき混ぜつつきっぱり告げると、割り箸をパキッと割ってズルズルっと食べ始めた。

「……妙に旨いな。
この『多様性』の味が逆に日本らしいな。
なんだか、やっと日本に帰ってきたって感じがするよ」


さっさと麺を食べ切った小笠原は、なぜかコンビニ袋からサ◯ウのごはんを取り出してミニキッチンの脇にある電子レンジで温めた。

そして、カップボートからパスタ皿を持ってくると、カ◯プヌードルの残りのスープと温まったサ◯ウのごはんを入れて軽く混ぜる。

さらに、その上にコンビニ袋から取り出したチーズをまぶした。

それから、もう一度電子レンジで温める。

「ちょっとおっ、それってリゾットじゃーんっ!」

——なんで、カップ麺でそんなことができるのっ⁉︎

すると、小笠原は勝ち誇ったドヤ目でわたしを見た。

「君にはやらないからな」


——いらないわよっ!!
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