フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
「あんなに酒くさかったのに、いきなり風呂に入って大丈夫かよ?」
としゃべりながらも、ミネストローネ味のチーズリゾットになった元カ◯プヌードルが、みるみるうちに無くなっていく。
——この人、食べるの早くない?
そんなにお腹が空いていたのだろうか?
「祖母の英国の血のおかげかしら?
今までどんなに呑んでも前後不覚になったことはないし、次の日に二日酔いになったことはないわ。
ぐっすり眠ったら、朝はスッキリよ」
お酒に対する体質は、生まれ持ったアルコールを分解する遺伝子によるものだといわれる。
もちろん人にもよるが、一般的に欧米人はアジア系よりもアルコールを分解する酵素が活発なため「お酒に強い」とされる。
「それに『酒くさい酒くさい』って失礼ね。
呑んだ紹興酒はワインとほぼ変わらない度数よ」
「あぁ、おれは酒が呑めないからな。
タバコを吸わないヤツがすぐに気づくように、苦手な臭いには敏感なんだ」
——ええっ、めちゃくちゃ呑めそうに見えるんだけど⁉︎
「それじゃあ、接待のときなんかの酒席で困るんじゃないの?」
「まぁな……だが、最近は無理に勧めると『アルコール・ハラスメント』になるからな」
そう言って、小笠原はコンビニの袋からペットボトルのお茶を取り出した。
なんとなく、白いキャップをぐいっと開ける手に目を向けると……
意外なことに、彼の左手薬指には結婚指輪が収まっていた。
イエローゴールドが眩いメレリオ・ディ・メレーの「アネル」というシリーズのそのリングは、当然のことながらわたしの左手薬指のものとお揃いだ。
——まさか、彼も結婚指輪をつけているなんて……
「……って、そんなことよりも!」
そうそう、わたしは「話」をしに来たのよ!