フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

「今夜は仕方ないとしても、早くここを出てもらわないと困るんだけど」

わたしは話を切り出した。

「腰を落ち着けて住めるところをなるべく早く探してもらうよう、秘書に頼んだ。
全力で早急に手配すると言ってたから、そのうち見つけてくれるだろう」

——あ、あの感じの悪ぅーい(ひと)ね。

いつぞや会ったとき、ものすごーく怖い顔でケンカを売ってきたあの秘書——確か、名前は「武田 かおる」って言ってたっけ?

小笠原に気があるみたいだったから、そりゃあ『全力で早急に手配する』でしょうよ。

——っていうか……あの人「愛人」じゃないの?

二人なかよく(かどうかは知らないけれども)中国に三年間赴任していたみたいだし。


「それと、ここで暮らすためのわたしの『生活費』なんだけど……」

このことだけは、きっちりと話をつけておかないと、わたしの「死活問題」だ。

「まだこんなバカ高い宿泊費のホテルに住み続けるつもりか?」

小笠原は心底呆れた声で訊いた。

「君の仕事が現在『開店休業』状態なのは把握しているぞ。
それと、君の資産は預貯金がほとんどなく、祖父母からの遺産が有価証券や不動産類であることも確認済みだ」

「えっ、ウソっ! いつの間に……⁉︎」

わたし自身がモデルとして稼いだお金は、綺麗さっぱり使い切っていた。

——だって、「セレブのお嬢様の私物拝見」って特集なんか組まれたりするのよ?

だったら「必要経費」じゃない?


「そうだ……いい考えが浮かんだぞ」

わたしを見据えて、小笠原がニヤリと笑った。
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