フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
💟 Fake 4
3年目の新婚生活…?
わたしたちは、互いの出した「条件」を了承した。
そうと決まれば、こんなバカ高い高級ホテルに滞在しているのがバカらしくなる。
早速、わたしが祖父母から受け継いだベリが丘のノースタウンにある洋館へ移ることとなった。
今まで滞在していたホテルのあるベリが丘駅南側のサウスエリアと、北側の櫻坂を上がったノースエリアとはまったく趣が異なる。
賑やかなショッピングモールや整然としたビジネスエリアを擁するいかにも都心というサウスエリアに対して、ノースエリアは瀟洒な邸宅が立ち並ぶ閑静な高級住宅街だ。
とにかくセキュリティが半端なく、ノースエリアの入り口にはアール・デコ調の洗練されていながらも堅牢なゲートがそびえ立つ。
住民にしか与えられていない「ゲートキー」で開門しないと、中へは入れない。
まるで都心の中の「独立国」で、在日大使館のような「治外法権」的なエリアである。
そのため富裕層に絶大な人気があり、わたしの祖父母も二人で最晩年を静かに過ごす地としてここを選んだ。
それにしても……
——なんで「夫」は、テンシを「出禁」にしてほしいんだろ?
テンシ——長澤 典士とは、町田にある私立の学園で幼稚部からの腐れ縁だ。
どういうわけか昔から女子の友達ができなかったわたしに、ようやくできた性差を超えた「親友」なのに……
強いて言えば、出禁にするのは初カレの方じゃないのかな?
幼稚部からの腐れ縁は初カレも同様で、特に高等部の頃はよく三人でつるんでいた。
政略結婚させられるのがイヤで実家から追われていたとき、背に腹はかえられず婚約者さんと同棲を始めたばかりの初カレの「愛の巣」へ押しかけたけれども、なんのかんの言いながらも匿ってくれた。
そういえば……その初カレは、このノースエリアに住んでいたんだっけ?
『——どうした?レイカ。
L◯NEのメッセージじゃなくて通話でなんてめずらしいな』
軽快な呼び出し音が止むと、テンシの声が聞こえてきた。