フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
「大人気シリーズ『おうちで簡単!行列に割り込めるシェフの味』は大阪江戸屋百貨店のプライベートブランド商品だが、その企画立案およびプロジェクトリーダーはおれだ」
「へぇ、そうだったんだ!」
わたしが昨日までつくっていた(お湯で温めていた?)レトルト食品のシリーズは、いろんな国の料理が揃っていて本当に便利だった。
——しかも、美味しいしね。
「あのシリーズの商品開発のために、世界各国の料理を現地に赴いて食べてきた。
なので、あいにく英語ならばビジネス会話程度なら大丈夫だ」
——なに、それ?
外国で通訳なしでビジネスができるってこと?
「フランス語・イタリア語・スペイン語・中国語は日常会話程度しかできないがな」
やっぱり——壮大なイヤミだった。
ムカついたわたしは、小笠原の目の前に祖母のノートを突き出した。
彼はニヤッと笑ってノートを受け取ると、パラパラとめくり始めた。
そして、ふと目を上げて言った。
「もしかして……分量の単位をgまたは㏄でつくったんじゃないか?」
「へっ?」
わたしは素っ頓狂な声になった。
「このレシピでの分量の単位は、lbまたはozだ」