フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

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『……料理は「調理」——(ことわり)調(ととの)えさえすれば、君の祖母(ばあ)さまのグレイビーソースの味を「再現」できるはずだ。
つまり、分量さえきっちりと正確に守ればな』

小笠原からそう言われて、わたしはその後レシピノートに沿っていろんな料理をつくってみた。

しかし、さすがの小笠原のコ◯ン君級の「読み」も残念ながらこればかりは外れた。

といっても、流れるようなcursive(筆記体)で綴られた祖母のレシピノートには、まさしく「g」や「㏄」ではなく「lb(ポンド)」や「oz(オンス)」で分量が記されていたのだが……

1gは約0.0022lbだの、約0.0353ozだの、いちいち換算するのがややこしいうえに面倒なこともあって、つい間違えてしまう。

すると、相変わらず凄まじい味になってしまう。

——さすがに味見したわよ。

そんなわたしの料理を見かねた小笠原が、海外で使われる計量スプーンを買ってきてくれた。

それでも——ダメだった。

——どうやら単位以前に、わたしの計量能力に問題があったみたいね……

だけど、どの料理も中身()に難あれど「見た目だけは非常に美しい」。


今夜も、なんとか手直しをしてどうにか食べられるレベルにまで引き上げた(ある意味天才かもしれない)小笠原がしみじみとつぶやいた。

「やっぱり、料理ってのは……
『作り手』がそっくりそのまま、(あらわ)れるもんなんだなぁ……」


——はぁ……⁉︎

しっ、失礼なっ!
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