フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
『——おはようございます、LEIKAさん。
夜分にわざわざ申し訳ありません』
すぐに村田が出た。彼女はまだ仕事中みたいだ。
「おはようございます、村田さん、お疲れさま。……で、どうしたの?」
わたしは鷹揚に尋ねた。
『それがですね、この前送ってもらったLEIKAさんがお撮りになった写真なんですけど、社長に許可を得てすぐにイン◯タにアップしたんですよ。
そしたら、みるみるうちに閲覧数もフォロワーも増えていって、すっごく評判がいいんです!』
「へぇ、そうなの? それは良かったわ」
亡き祖母が遺してくれた、この素敵な洋館とお庭のおかげである。
わたし程度のカメラの(スマホの?)腕であっても、とにかくどれをを撮っても「画」になるのだ。
『それで、他にも撮った写真があれば、また送っていただきたいと思いまして……』
「あ、だったら……ちょっと待ってて。今送るから」
そう言って、わたしは今までにつくった料理の写真をプラベ用のiPh◯neから送付した。
『わぁーっ、なんですか、これっ!
ものすごーく美味しそうなお料理じゃないですかぁーっ‼︎』
送付した写真を見るなり、村田が叫んだ。
「英国人だった祖母が遺してくれた家庭料理のレシピノートがあってね、夫に言われて片っ端からつくっているところなの」
どうやら「おうちで簡単!行列に割り込めるシェフの味」シリーズの新しいメニューの参考にしたいらしい。
なので、このシリーズは今「封印中」だ。
『えーっ⁉︎ あの素敵なおうちで、この美味しいお料理を食べていらっしゃるんですかー?』
——確かに外見はそうだけど、中身は凄まじいわよ?
『こんなに美味しそうなお料理が食べられるLEIKAさんのご主人が、めちゃくちゃうらやましいですー‼︎』
——そうお?
あの人は、毎回決死の覚悟でわたしのつくった味を口にして……
だって、味見しないと手直しもできないでしょ?
そして——
あまりの不味さに、いつも心の中で悶絶しているけど?