今夜、色のない君と。



…なるほどね。


要は赤ちゃんが成長すると同時に言葉を覚えていくっていうのと同じってことか。


でもまだ一つ疑問がある。



「…絵に描かれた人物は、みんな君みたいに意識があるの?」



すると女のコは、難しい顔をしながら言った。



「それは、わかりません。私のように意識をもっているのかもしれませんし、私が例外なのかもしれません」



何も…知らないんだ。


たぶんこのコは、僕以上に知らないことがいっぱいある。



僕がこのコに対して疑問をもつように、このコもこの世界に疑問をもつことはあるだろうし、


もしかしたら自分自身が何者なのかを疑いたくなるのかもしれない。



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