今夜、色のない君と。
そう呟いて、本をじっと見つめる女のコ。
「……恋っていうのは、緒都くんはしたことがあるんですか?」
「……へ?」
真面目な顔して何言うのかと思えば…。
「…僕はまだしたことないけど」
「そうなんですか。……ピンク色っていうのは、この色のことですよね」
そう言って、女のコは本の表紙を指さした。
「そうだよ」
「じゃあ、男のコの顔はこんな色になったのか…」
……その表紙の色よりもっと薄いピンク色だけどね。