今夜、色のない君と。
「花に、夜……」
「そ。だから花夜は、夜に咲く花だな」
……ってなにそれっぽいこと言ってんだ。
だけど花夜見てたらなんとなく……そんな言葉しか思いつかなかった。
「…緒都くんは、優しいんですね」
花夜はさっきとは違う、優しく笑いながら言った。
その笑顔に、僕の鼓動は妙に波立つ。
「…べつに。優しいなんて言われたことないよ」
「ふふっ。じゃあ私しか知らないんですね。緒都くんが優しいってこと」
花夜は、そう言ってからも僕の方を向いてずっとニコニコしている。
「……もう、わかったから。そんなニコニコしないで」
「え、私ニコニコなんてしてました?」
「してたよ。すっごいしてた」