打って、守って、恋して。
テーブルに頬杖をついてガラスの向こうで行き交う人たちを、ぼんやりと眺める。
時計を気にしながら足早に通り過ぎるビジネスマン、ホストっぽいに声をかけられて逃げるように駆け足で走っていく女の子二人組、会社の飲み会かなと思うような老若男女の団体、携帯操作に夢中になってぶつかってしまって謝っている男子学生、これから飲みにでも行くのか二十代くらいの会社員みたいなスーツ姿の男性二人……
そこまで眺めて、ん!?と二度見した。
ちゃんと確認できなかったけど、シルエットが似てる!
バタバタと飲みかけのカフェラテを残してトレイごと返却口へ置いて、バッグを抱えてカフェを飛び出した。
人混みの中を小走りで駆けながら、少し前を行く二人を追いかける。
飛び抜けて背が高い人と、人混みにすぐに紛れそうなほど平均的な身長の人。
二人の男性は、時折顔を見合わせて笑いながら話をしている。
二人の横顔を見て確信へかわる。
「栗原さんと、藤澤さんだ……」
この一ヶ月で何度も目にした二人を、私が見間違えるわけがない。
ユニフォームを着ていなくても、スーツ姿でもすぐに分かった。
二人を見失わないようにしつつ、携帯で凛子に電話するがつかまらない。
なんでこんな時に電話に出ないんだ!とイライラしながらも、誰でもいいから来てほしくて先輩の沙夜さんにかけてみる。
ワンコールで出てくれた先輩を、勢いづいて誘った。
「沙夜さん!今すぐ来てください!お願いします!ごちそうしますから!!」