夏の魔法
僕が目を覚ますと、部屋で横になっていた。
美影、と誰かが呼ぶ声がする。僕は、ぼんやりと虚空を見つめていた。頭が働かず、さっきまで何をしていたのか分からない。意識がはっきりとしていない。
美影、とまた僕の名前を呼んだ。しばらくすると、意識がはっきりとしてきた。それでも、さっきの出来事が抜け落ちている。
「英太…?僕は、何を…」
頭が痛む。何かされた、と言うことが分かった。それでも、何をしていたのか分からないでいる。
「僕、美影とお母さんの後を追ったんだ…美影は、両親から悪口っていうのかな?を浴びせられてたんだよ」
…思い出した。この部屋に連れられてきた僕は、母と父から暴言を浴びた。その後、突き飛ばされたんだった。そこからの記憶が無い。
英太の話によると、突き飛ばされた僕は近くにあった壁に頭を打ち付けると、そのまま床に倒れ込んだらしい。
「僕が、美影に声をかけても、美影を揺すっても起きないし、反応もないし…死んだのかと思った」
僕は、英太に何を言ったら良いのか分からなかった。
その後、僕達の様子を見に来た父の妹が、念のために…見てもらっておこう、と言ってと僕を車に乗せた。