夏の魔法



「――ということだったんだ」

この言葉を聴きながら、目を覚ました。僕は、お母さんが使っている布団の中にいる。体制を変えずに話を聞いていると、聞き慣れた声が聞こえる。

「そうとも知らずに、ごめんな。美影…」

…琥白の声だ。なぜ、琥白が僕の家にいるのか…?と考えていた僕は、両親に顔を向けた。その視線に気がついた父は、僕に近づいてくる。

「美影…辛い、のか?」

父が僕の肩に手を置いた。ビクっと体が震えたのが分かる。僕は、父の手を振り払い、顔を歪めていた。

「美影…大丈夫か?」

琥白は、僕の過去を聞くために家に来たのでは…?という不安があった。

「…お前が寝ていく直前に、『琥白に…』って呟いてただろ?」

「あ、うん」

「…意味が分かったんだ。だから、琥白くんを家に連れてきて、お前の過去を話した」

「そうだったんだ…」

寝てしまう直前の僕の言葉が、父に届いていた。琥白から聞かれるのは嫌だったから、両親から話してくれたことが嬉しかった。

「…僕が英太を思い出して、悲しくなったのは、2年生の冬頃にもあったよ。去年の冬になるのかな」

僕は、あの日のことを思い出した。
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