海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 マーリンさんにズイッと差し出されたのは、所持品検査のために提出したペンダントだった。
「あ! どうも!」
 正直、他の荷物はどうでもいい。だけど、これだけは父ちゃんからもらった大切なお守りだからそうはいかない。
 ありがたく受け取って、早速首にかける。今まで通り、トップに下がる革袋はシャツの中に押し込んだ。
「なんだマーリン!? よもやエレンにまで所持品検査を実施したのか!?」
 私の所持品検査を知ったアーサーさんが、マーリンさんに不満げな声を上げた。
「ハァ、なに寝ぼけたことを言ってるんですか。全乗組員に課しているのですから、船長付きの小姓だろうと免除などあり得ません」
「グッ」
 マーリンさんは、アーサーさんの抗議を一刀両断した。アーサーさんは一瞬で、押し黙った。
 ……ちょっとだけ、船長のアーサーさんと副船長のマーリンさんの力関係はおもしろいと思った。
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