海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「ところでエレン、それはどうやって手に入れた?」
 ふたりの絶妙のかけ合いをニマニマと眺めていたら、マーリンさんが再び私にグリンと向き直って問いかけた。
「え? どうって、家を出るときにお守りだからって、持たせてもらった物だよ」
「君はルドランス国民に間違いないよね? 出身地はどこ?」
「もちろんルドランス国民です。出身はモードン侯爵領です」
「エレンのご両親は地元の出身?」
 なんだなんだ?
 矢継ぎ早に質問され、私はかなり圧され気味だ。
「父ちゃんはずっと今の土地で商売してる。……あーっと、でも、若い頃は祖父ちゃんと旅してた時期もあったか。ちなみにさ、うちの商売はもう六代も続いてて、地元じゃちょっとした名士だってんで――」
「お母上は!?」
 言葉の途中を遮ったマーリンさんは、鬼気迫る形相で私に詰め寄る。正直、かなり怖い。
「か、母ちゃん? 母ちゃんのことは、俺もあんま詳しくは知らないんだ。でも、地元出身じゃないみたいなこと、言ってたような?」
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