海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「陛下、ご心配召されますな。必ずや俺が、捕縛いたします」
 俺は陛下の肩を安心させるように、そしてグリグリの攻撃を緩和させるように、トントンと叩いて取り成す。
 陛下はゆっくりと顔を上げ、年を重ねても輝きを失わない水色の瞳で俺を見上げた。
「すでにあちらの運航計画も入手しております。この上はなんとしても海上にて、早急に捕縛を完遂いたします」
 陛下を取り成しながら、俺の脳裏にはひとつの可能性が浮かんでいた。
 今回の命の裏には、俺にすら明かされていない王家の秘密が隠されている。だからこそ陛下は、こうも事を急ぎたがるのではないだろうか。
「そうかアーサー、やはりそなたに任せておけば間違いないな……。そなたは母であるわしの妹によく似て、実に利発だ。それに引き換え、わしの子らも孫らも、皆愚鈍だ」
 これには正直、返す言葉に窮した。
 俺の従兄にあたる王太子殿下も、その他の王子王女らも、お世辞にも優秀とは言いがたい。
 けれど彼らは薬にならない代わりに、毒にもならない。それだけは、バーミンガー王国にとって救いといえた。
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