海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「陛下、たとえば陛下の侍従のブラッドの子らは神童の誉れ高く、武芸にも明るい。王自らが権勢を振るうばかりが政ではございません。周囲の知識技能を有益に生かすもまた、政と言えましょう。それがいとわずにできれば最低限、王としての体裁は保てましょう」
「ははっ。やはりそなたは口先だけ取り繕うことをしない。建設的な物言いをするの」
 ん? わずかに物悲しさを感じさせる陛下の笑みに、他にもっと言い様があったかと思ったが、後悔先に立たずとはこのことだった。
「よいよい、それが事実だ。そして事実を歪曲してみせるほど愚かなこともないからな。時にアーサー、そなたの情報網ならば、すでに総元締めの正体にもあたりがついておるのだろう?」
 陛下はカラカラとひとしきり笑うと、スッと表情を引きしめた。
 ……ふむ。
 それはいまだ確証のなにもない、可能性の話。そんな不確かな情報を陛下の耳に入れ、いたずらに気を揉ませてしまうのは本意ではなかった。
 もちろんうやむやにこの場をごまかすこともできた。
「確たる証拠があってではございません。けれど持てる情報を総合し、俺は、総元締めはローシャル様ではないかと踏んでいます」
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