海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
王位継承にあまりにも不都合な第一王子の存在に、周囲もそれを静観した。よって先王の胤と広く知られながら、今現在もローシャル様は正式な王家血統一覧に名を連ねてはいない。
そんな経緯で、兄弟でありながら陛下も俺の母もローシャル様とは連絡を取り合うような間柄ではなく、俺も伯父にあたるローシャル様とは一度も顔を合わせたことがなかった。
「アーサー、これはもしもの話だ。ローシャルの捕縛をなしたとき、万が一その船に五十がらみの女性が乗っていたら秘密裏に保護し、わしのもとに連れてきてもらいたい」
なんとも中途半端な陛下の物言いに、俺は内心で首をかしげていた。
「それはローシャル様の奥方様ということでしょうか?」
「……いや、ローシャルの女房はローシャルが幼少期に預けられた教会の神父夫婦の娘だ。だとすれば、暗褐色の髪色と瞳であるはずだ。わしが探す女性は……ほんの赤ん坊の頃の養育日記の表記には、輝くばかりの淡い金髪と透き通る水色の瞳をしているとあった。年齢を重ねても、持って生まれた色彩はそうそう変わらないだろう」