海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「グオッフォンッ!」
ん? 悶絶する俺の耳に届いた、野太い咳払いに首をかしげる。……なんと、俺のエレンはずいぶんと喉の調子が悪いらしい。
喉のイガラっぽさは、油断をすればひどい風邪にだって発展する。
エレンの体調不良が心配で、俺も、俺の紳士も一気に縮み上がった。
「エレン?」
おもむろに、うしろのエレンに視線を巡らせれば、……ぬおっ!?
「……なんだマーリン。戻っていたのか」
エレンの隣にピタリと立ったマーリンを中心に、ビュービューとブリザードが吹きすさぶ。
しかし俺には凍てつく寒さのブリザードとてこたえはしない。エレンが喉を傷めていなかったという一点に、ホッと安堵の息をつく。
「戻っていたのか? じゃありません。船長、ちょっとこちらへ」
マーリンが問答無用で、俺の腕をがっちりと引っ掴む。
「なんだよ? ふたりして内緒話なんてズルいぞ」